就職戦線が始まり、企業説明会の話題も増えた。会社スタートの頃は職安、 知人、親せき紹介の中途採用が主だった。年齢も入社年月も職歴もばらばらで社内教育が難しく、二ー三年で辞めるのが多かった。一度に三ー四名の退職者が出 たのを機に、新卒の定期採用に切り替えた。
中小企業家同友会の共同求人活動に参加し、他の企業を参考に会社案内、 就業規則、経営指針を作成し、学校訪問、就職担当者との懇談を重ね学校とのパイプも太くなった。現在では九割が新卒採用の社員となり、入社教育も 幹部教育も行き届き、社員の質も雰囲気も定着も良くなった。
学生側のミスマッチですぐ辞めるのも相変わらずだが、採用側のミスマッチも結構ある。八年前営業職採用の新人とのギャップはひどかった。先輩営業マ ンとの同行研修後の報告では「あの新人は、親切丁寧だが話が長すぎて営業に向かない」との事。理由を聞いて納得し配属を修理に換えた。
一カ月後、修理部門の社員から「内勤に回して…」との提案。内勤でも電話の話が長過ぎて評判が悪い。本人を呼んで「どうする」と聞いたら、「インス トラクターがしたい」という。習う側は親切丁寧にゆっくり教えられたいもの、 たちまち生徒からの評価は高まり、名指しされるようになった。いまでは社員 からの信頼も厚い。採用した以上、適材適所に配置し、能力の発揮できる職場 作りがトップの重要な役割。
相変わらず若者の失業率は二けたで高い。経済状況もまだ厳しい不況の折り、 定期的な新卒採用の継続は中小企業にとって大きな負担ではある。お客様から支持され、また来たくなる会社づくりと、若者の将来のためにも新卒の定期採用と行き届いた社員教育の実践が大事では。
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