◆ 卒業にあたって
発刊日 2005年4月 第10期同友会大学「卒業論文集」 第6期~第9期 同友会大学 学長 名護宏雄 企業を取り巻く情勢や環境は、ますます厳しさを増し、その中で中小企業経営を維持し発展させることは並大抵のことではありません。経営者である以上、いかに環境が厳しくとも、時代の変化に対応して、経営を維持し発展させる責任があります。同友会の「労使見解」の精神を学び、経営指針を作成し、人材育成を着実に進める同友会運動の歴史と理念の実践が問われています。ライブドア堀江社長のフジテレビへの株買取を巡る戦いは、NHKと朝日新聞の報道合戦よりも面白くなってきましたが、株式市場での評価額を担保に資金を引き出して企業を買い取る、守る側も含めて中小企業の経営とは、程遠い距離を感じます。 沖縄同友会は経営の現場で「よい会社・よい経営者・よい経営環境」の実践を積み重ねてきましたが、国の三位一体改革の実施もあり、経営の改善、発展には経営努力だけでは解決できない課題も多く、沖縄経済の自立的発展もまだまだ厳しい状況にあります。沖縄の状況は、まさに「自主・民主・連帯」の精神を発揮した「21世紀型企業づくり」が期待されています。 県内でも中学生の恐喝や放火事件をはじめ、青少年を巡る事件が頻発しています。家庭も学校もまともな人間を育てる機能を失い、そのシワが中小企業にも寄せられ、私たち中小企業家は、政治的・経済的な不利に加えて、教育的な負荷も負わされています。同友会の人材育成は、「科学性・社会性・人間性」に裏打ちされた経営者、経営幹部が人間尊重の考え方にたち、社員と共に学びあい育ち合い、人間力に溢れる企業、風土づくりを大事にしています。仕事をしながらの勉強や仲間との交流が、これからの生き方や仕事の面で大きな財産となることを期待して10期目の卒業への挨拶とします。 |