◆ 卒業にあたって
発刊日 2003年4月 第8期同友会大学「卒業論文集」 第8期同友会大学 学長 名護宏雄 活力ある民間主導の自立型経済の構築が言われて久しくなります。自立できる経済基盤とは、そこに多様な条件の人、多様な年代の人の雇用や所得を保証できる場があるか否かが焦点です。中小企業の経済活動と社会貢献で、独特の地域文化を持ち「住みたいと思う」魅力ある地域づくりへの参加が決定的に重要です。地域にある自然エネルギーや文化的資源など地域の固有資源を活かした産業化・事業化に取り組む企業家の輩出が必要です。同友会では、経営指針(経営理念・戦略・計画)の確立と実践が企業経営の羅針盤、自立型社員育成の基本として、全会員が指針作成の取り組みを重視しています。経営指針の確立には、①自社の存在意義、社会的役割や使命、地域社会からの信頼、②社員の創意や自主性が十分に発揮され、労使が共に育ちあい高まりあいが重要であります。激変の時代を生き抜く為にも社歴、業種、規模に関係なく早急に指針作成に取り組むべきであります。 企業のモラルが問われた雪印食品のラベル張替え偽装事件や、米国のエンロンの不正な会計操作と政治家との癒着による、倒産事件に象徴される企業の生き様が問われる事件が頻発しています。規模が大きかろうが歴史が古かろうが社会的役割を忘れた企業は、即退場を迫られる事実が示されました。 県内でも中高生による恐喝事件をはじめ、青少年を巡る事件が頻発しています。家庭も学校もまともな人間を育てる機能を失い、そのシワが中小企業にも寄せられています。私たち中小企業家は政治的、経済的な不利性に加えて、教育的な重荷も負わされています。同友会の人材育成は、「科学性・社会性・人間性」に裏打ちされた経営者、経営幹部が人間尊重の考え方にたち、社員と共に学びあい育ち合い、人間力溢れる企業、風土づくりを大事にしています。 第8期のカリキュラムも企業経営のトップが備えるべき、過去の沖縄の歴史から政治・経済・文化まで深く練った幅広い内容になっています。講師陣も沖縄の各界各分野で実践、活躍されている一流の皆様が揃いました。卒業生も皆さんの8期目も入れて140名を超え、それぞれの企業で経営幹部として活躍しています。また沖縄同友会の諸活動や本大学の運営においても卒業生の皆さんが大きな役割を担うように成ってきました。 私たちは、困難な課題が山積している時こそ、同友会の「自主・民主・連帯の精神」のもと、学んだ成果がその真価を発揮し、課題を克服することで私たち自身が鍛えられ、磨き上げられることを経験してきました。大学で学んだこと、論文に書いた内容をしっかり身に着け実践して検証してこそ、大きく成長できます。仕事をしながらの学習体験や仲間達との交流が、これからの生き方や仕事の中で大きな財産に成ることを期待して卒業にあたっての挨拶とします。 |