沖縄タイムス2004年8月29日「オフィスの窓から」欄掲載
7月の初旬、米国カリフォルニアの高校3年生をホストファミリーとして2週間引き受けた。ホームステイの間、ブロークンな英語の生活で楽しいわが家であった。到着の3日間は旅の疲れと時差ぼけのせいか、元気も食欲もないので、心配で母親に電話をした。しかし、身だしなみはへソ出しルック、食事はハンバーガーとスナック菓子、メールで彼氏とけんかして涙を流す、日本の16歳、国際通りの高校生とまったく変わらなかった。帰る前夜と那覇空港での別れは、固いハグを繰り返し、離れ難さがにじみ出て感動ものであった。短い期間ではあったが心のつながりの大事さを再認識した。
7、8月の夏休み期間は、インターンシップ学生の受け入れで職場も慌ただしい。県内の中学から大学まで13校から30人余の職場体験を実施した。スケジュールが重なって都合がつかない学校もあり、残念ながら希望者全員を受け入れることはできなかった。今年は、先生の「インターンシップ生」もいて、職場も日ごろより緊張感があった。
7年前、大学生2人、3週間の期間でのスタートしたインターンシップであったが、最近は2、3日の短期間ながら中学生の参加が増え、学校との調整役の担当者は忙しい。社内での振り分けや時間配分など社員の説得にも苦労がある。当然トラブルも発生するので、社員や会社の対応能力の改善も問われる。インターンシップの受け入れは、地域に根差した企業として、子供たちが実物に触れ、物事の実際を体験することで人間としての成長を遂げていく、そのチャンスの携供である。また学生との交流で社員の意識改革につながればとの思いもある。
高校生の報告に「就業体験を終え、自分に足りないものやこれから身に付けていくべきことなどを知ることができました。とても充実した5日間を過ごすことができました」とある。望ましい勤労観・職業観の芽生えと解釈したい。
ホームステイやインターンシップを体験した若者たちが、受け入れた職場や家庭の人と人のぬくもりを感じ、より大きな温かな輪が広がれば、教育問題もイラクの戦争もちょっとは変えられるかも…。